俺と彼女とアイツ

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「ご飯、食べに行く?」 「えっ!?」 「1時間ぐらいなら時間あるし、また倒れられたら困るから」 「……ありがとう」  礼を言った彼女の目が潤んでいるように見えて、心臓が跳ね上がった。  こういう場合、本当なら「椎名に迎えに来てもらおうか?」と訊かなければいけないのかもしれないが、何故だか言えなかった。  病院の正面玄関でタクシーを拾い、乗り込んだ。  運転手がいるから二人きりでもないのに、狭い空間に並んで座っていると何だか悪いことをしているようで、少し気が咎めた。  それは、時折くるみが前のように俺の横顔をじっと見ているせいもあるのだろうか。  あえて気づかないフリをして、俺は窓の外の見慣れた景色をぼんやりと眺めていた。
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