俺と彼女とアイツ

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 ほんの数ヶ月前なら普通にしていたことなのに、遠い昔のようで懐かしい気持ちになった。くるみが隣を歩かずに少し後ろを歩いているのが、付き合い始めた頃のことを思い起させたのかもしれない。  そんなことを考えていたせいか、気づくとマンションの中にまで入ってしまっていた。一体、どこまで送って行くつもりなんだ、俺は。 「あ、ごめん。ついクセで」 「ううん。いいの。今日は迷惑かけてごめんなさい。どうもありがとうございました」  足を止めると、くるみは他人行儀に深々と頭を下げた。  紛れもなく俺たちはもう赤の他人だった。今日が特別なだけで、本来なら会うことも言葉を交わすこともない。  次の約束をすることもない。 「じゃあ、俺はこれで」  帰ろうと歩き出した俺に、くるみが言った。
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