俺と彼女とアイツ

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「別に何もしてないよ。もう帰るとこだったんだ」  俺がくるみを抱きしめていたのを、椎名は凄まじい形相で見ていた。怒るのは当然だ。 「もう好きじゃないんやったら、くるみの前ウロウロすんの止めてくれる?ウザいねん、あんた」  少し前なら人の彼女にちょっかいを出す椎名の方が悪者だったが、今は立場が逆転している。身を引いた俺の方が悪者だ。  理屈ではそうなのだが、俺に散々悪態をついておきながら、結局お前もくるみをちゃんと見ていないのかと思うと腹立たしかった。 「そんなに好きなら、もっとちゃんと見ててやれよ。今日だって会社で倒れて病院に運ばれたんだぞ」  俺の言葉に椎名は顔色を変えた。  そして、俺の言ったことが本当かどうかくるみを問い質していた。
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