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付き合ってはいなくても、今一番近い存在であるはずの自分が何も知らなかったことに、椎名は酷くショックを受けているようだった。
「……今日はしゃあないけど、もう二度と来んといてな」
俺からくるみを遠ざけるように、椎名は彼女の肩を抱き部屋へ連れて行こうとした。
「自信ないのか?お前」
「は!?何が?」
「彼女に言われるならまだしも、彼氏でもないお前にもう来るななんて言われる筋合いはないよ」
恐らく、椎名にとっては俺の放った一言が逆鱗に触れる禁句だったのだろう。
いつものふざけた男とは別人のように怒り、椎名は俺に掴みかかってきた。
「くるみのこと悪者にしてフッたクセに、自惚れんのもたいがいにせえよ!あんたのせいでくるみがどんだけ苦しんでるか知ってんのか?」
「止めて!ユージ!」
怯えた様子で、くるみが椎名の腕を掴んでいた。
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