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「あんた、まさかオレに仕返しするためにわざと別れたんか?」
俺のことをどれだけ悪い奴だと思っているんだ。
まさか、俺を悪者にするためにわざとそんなことを?いや、この男がそこまで頭の回る奴だとは思えない。純粋な不安だろう。
「お前のために、そこまでするわけないだろ」
敵意剥き出しに俺を睨みつけた後、アイツはくるみの手を引いて階段を上って行った。
複雑な表情で振り返るくるみが、ごめんなさいと言っているような気がした。
外へ出るとうっかり自宅へ帰りそうになったが、まだ仕事中だったことを思い出してげんなりした。
マズい。今日は七時から取引先と打ち合わせがあるんだった。まだ準備も途中なのに。
駅でタクシーを拾い、車内で打ち合わせの内容をまとめた。
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