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「いいよ、わざわざ。そんなことしたらくるみだって風邪引くよ」
「大丈夫!わたしは傘あるし。すぐ買ってくるから部屋で待ってて」
止めるのも聞かず、くるみは土砂降りの雨の中を駆け出して行った。
ただ、心配する素振りを見せてくれたらそれでよかったのに、まさかこの雨の中を薬まで買いに行ってくれるなんて夢にも思わなかった。
申し訳ないことをしたと思いつつも、あの頃と変わらないように見える彼女の姿に胸の高鳴りを抑えることができなかった。
降り頻る雨の中、俺はしばらく動けずにいた。
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