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「その気がないんじゃないよ!今度こそちゃんとユージのことだけを好きになろうって決めたから、お料理だってケーキだって頑張って作ったの。ユージが喜んでくれるといいなって思いながら、ユージのことだけ考えて作ったの……」
「ホンマに?アイツのことは一回も考えんと?」
「うん……考えてないよ」
「じゃあ、アイツと寝てアイツのことはちゃんと忘れられたってこと?」
「……自分の中ではちゃんとケジメをつけたつもり」
右手で自分の左腕をギュッと握りながら、くるみんが言った。
はっきり”忘れた”と言わん彼女をこのまま信じていいんやろうか?
アイツを忘れるまでどれだけ時間がかかっても待つつもりでおるけど、忘れる日なんかホンマにくるんやろうか。
「ふーん。ほな、今はアイツよりオレの方が好きってこと?」
「うん……」
「ほんなら、オレのことも誘ってよ」
「え……?」
「アイツのこと、自分から誘ったんやろ?じゃあ、オレのことも誘ってよ」
ここで彼女が怯んだら、もうオレに未来はない。
イチかバチかの賭けに、オレは息を呑んだ。
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