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思考を変えるためにシャワーでも浴びようと思っていたら、ドアホンが鳴った。モニターには気まずそうなくるみの姿が映っていた。
「ありがとう。早かったね」
何も考えずにドアを開けると、くるみは酷く驚いた後、顔を真っ赤にして目を逸らした。
半裸なのが原因だとすぐに分かったが、この程度のことで頬を赤らめるなんていかにも彼女らしい。
少しくらい擦れて可愛くなくなっていたらいいのにと思う。
「シャワー浴びようかなと思ってたとこだったから。ごめん。こんな恰好で」
「あ、ううん!あ、あのうこれ!」
目を逸らしたまま、くるみは手に持っていたビニール袋を俺に差し出した。
「ありがとう」
受け取った瞬間、彼女と手が触れた。
「手、冷たいね。くるみもびしょ濡れだもんね。これで体拭いて。今、コーヒーでも淹れるから」
首から提げていたタオルをくるみに渡し、コーヒーを淹れようと彼女に背を向けた。
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