雨夜の情事

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 ただ……。  引き止めてはみたものの考えたら彼女と話すような話題もなく、手持ち無沙汰のまま、琥珀色と睨み合う時間だけが過ぎていく。  二人でいるのに、さっきから雨音しか聞こえない。 「腹減ったなぁ」  さして話が広がりそうもないことを呟いてみる。口下手な自分が憎らしい。 「ああ、そっか。そうだね」  思い出したように、くるみは掛け時計に目をやった。 「最近はちゃんと飯食ってんの?」 「うん。食べてるよ」 「そうか。それはよかった」  今日がこんな土砂降りの雨でなければお礼に飯でもと言えるのだが、雨宿りを理由に引き止めた手前、簡単に外へ行く訳にもいかず。  滅多に家で食事などしないので食材の類も常備しておらず、この部屋では空腹を満たせそうにはなかった。
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