雨夜の情事

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 このまま手を拱いていたら、くるみはアイツのモノになってしまう。  時間などあってもなくても同じことだ。  俺自身が変わらなければ、例えフリーターになって時間を持て余していても現状を変えることなどできない。  気づいた時には、くるみの家へと向かっていた。  雨の夜に終わらせたはずなのに、今さら何の用だと門前払いされるかもしれない。  それでも、今、俺の気持ちを伝えておかなければ一生後悔することになる。  深く息を吸い、ドアホンを押した。  ドアホンのライトがついたので、向こうがモニターを見たはずなのだが応答はない。  やはり、出てきてはくれないのだろうか。  もう一度だけ押してみようかと思っていたら、ドアが開いた。 「こんな時間に何しに来たん?今、ちょっと取り込み中やねんけど」  聞こえてきた声と目にした姿に息が止まるほどの衝撃を受けた。  まさか、この男が来ていたとは……。
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