雨夜の情事

25/29
前へ
/1603ページ
次へ
 出迎えた椎名は自慢の体を披露するかのように下着一枚という破廉恥な出で立ちで、肩を抱かれているくるみは椎名の物と思しきTシャツ一枚というあられもない姿だった。  今にも荒々しい息づかいが聞こえてきそうなほどの生々しい姿に、今まで二人が何をしていたのかは想像する余地もなかった。  呼ばれてもいないのに、元カノの家に立ち寄った俺が圧倒的に悪いのは分かっていたが、沸々とお門違いな怒りが込み上げてくる。  俺への当てつけでわざと服を身に着けずに出てきたんだろうが、くるみをこんな恰好で玄関へ立たせるなんてどうかしている。  くるみん(・・・・)大好きの椎名なら、例え元カレであっても見せたくないのでは?  敢えて見せるということは、まだカノジョではないということか?   今日のところはまともに会話ができそうな状況でもないので出直すと言ったが、椎名は自分がいない時に来ないでほしいと俺を玄関の内側へと招き入れた。
/1603ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8251人が本棚に入れています
本棚に追加