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なぜお前が仕切る?という疑問は面倒臭そうなので呑み込み、口実で持ってきたイヤリングを差し出した。
コイツは俺とくるみのコトを知っているのだろうか?
「ありがとう……ございます」
恐る恐るイヤリングを受け取るくるみは、俺と目も合わせず俯き加減でずっとTシャツの裾を引っ張っていた。
その姿があまりに気の毒で、俺はすぐにでも帰る気でいた。
だが、椎名は俺に突っかかってきた。
わざわざイヤリングを届けに来たのが納得できないらしい。
確かに、本来はその目的で来た訳じゃないが、誰かさんが邪魔なのでやむを得ない。
「そんなもんわざわざ部屋まで持って来やんでも、ポストに入れときゃ済むことやろ。それをここまで届けるやなんて、上がり込む気満々やん。どうせ、オレがおらんかったら一発ヤッたろうとか思ってたんやろ。この前みたいに」
どうやら椎名は俺とくるみのことを知っているらしい。核心に触れた瞬間、奴の顔つきが変わった。と同時に、くるみも顔面蒼白になった。
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