彼女の選択

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 ドクドクと自分の脈の音が聞こえてきそうなほどの沈黙が流れた。  彼女はしばらく固まったまま、潤んだ目でオレのことをじっと見つめてる。  アイツと同じようにオレのことも誘って、というのはオレにとっては最後の賭けやったけど、彼女がオレを誘うことはないと覚悟はしてた。  どういう状況で、何て言う言葉で、雰囲気で、場所で、どんなつもりで、彼女がアイツを誘ったんかは分からん。  もしかしたら、ホンマにぜんぶ忘れたいと思ったんかもしらん。  けど、だからって今オレを誘いたいかと訊かれたら、答えはノーやと思う。  どう考えても、今はセックスするような空気じゃない。  正直、オレでさえアイツの顔ばっかりチラついて、とても欲情するような気分ではないのに。 『ごめんなさい。できません』『今はそんな気分じゃない』『もう少し時間がほしい』  さっきからずっと彼女がどんな言葉で断るのかを考え、何とかダメージを減らす方法を探してた。
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