彼女の選択

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 時間も時間やし、来るとしたらアイツしかおらん。  こんな時に来るなんてタイミングが良すぎるというか悪すぎるというか……。  なんやねん、マジで。  許可もなく勝手にモニターを見たけど、映ってるのはやっぱりあの澄ました顔で。  思わず鼻で笑ろてもうた。  くるみんは忘れるつもりで寝たって言うてたし、あの言葉に嘘はないと思う。  それやのに、なんでコイツが訪ねて来るワケ?  泣いて縋るくるみんをフッたのはあんたやろうが。  1回寝たからって、調子乗ってカラダだけのオンナにしようとしてる?  それとも、忘れたいって言われて焦ったん?実は未練タラタラ?  このままインターホン越しに帰れって言うたろかなって思ったけど、アイツが今さらどういうつもりでくるみんを訪ねて来るんかはっきりさせたかった。  目的によってはオレだって黙ってるワケにはいかんし。 「え、ちょっと……!」  焦るくるみんに構うことなく、オレはくるみんの肩を抱いて玄関のドアを開けた。 
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