彼女の選択

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「で?忙しいあんたが、わざわざそれ一個だけ届けに来たん?下心見え見えやんけ」 「何だよ、下心って」 「白々しい。そんなもんわざわざ部屋まで持って来やんでも、ポストに入れときゃ済むことやろ。それをここまで届けるやなんて、上がり込む気満々やん。どうせ、オレがおらんかったら一発ヤッたろうとか思ってたんやろ。この前みたいに」  くるみんがこの男に抱かれたんかと思うと、嫌でも手に力が入ってしまう。  真実を言わせたいけど聞きたくない。内心は複雑で。 「この前?一体何のことだよ」 「この期に及んで、とぼける気かよ。オレへの当てつけでキスマークつけ返したクセに」  オレらの恰好見たら、嫌でもキスマークのことに気づいてるって分かんのに、オレに言わせたいんかなとさえ思う。
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