嘘とジェラシー

彼女の選択

「そのキスマークに俺の名前書いてた？って訊いた方がいいのかな」

「ああ書いてたよ。変態のヒカワってな」

「そうか。だったらしょうがないな」

　とぼけ通すんかと思いきや、ヤツは案外簡単に認めた。

「へえ～。認めるんや」

「変態ではないけどね」

「変態やろ。別れたオンナにキスマークつけるなんて」

「別れた男への当てつけで、パン一になってる方がよっぽど変態だと思うけど」

「オレは別に当てつけでこんな恰好してるんちゃうから。しゃあないやろ？さっきまで愛し合ってたんやから。なっ！」　

　見れば分かるって話やけど、あえて伝えた。

　同意を求めようと視線を下げたら、くるみんは不安そうな顔でチラチラとアイツのことばっかり見てた。