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その度に思ってた。
ああ、くるみんはこの男のことが好きなんやなぁって。
オレのことなんか全然見てないなって。
悲しいかな、それが事実。
オレのチカラでは曲げることも歪めることもできひん。
痛いほど分かってる。分かってるんやけど……。
「ホンマはこのまま黙って身引いた方が男としてはカッコいいんかもしれんけど、1%でも望みがあるならオレは諦めたくない。アイツが彼氏じゃなくなって、やっと同じ土俵に上がれたのに。不戦敗なんて性に合わん。負けるって分かってても正々堂々と勝負したい」
相変わらず、諦めの悪いオレ。
虚しいを通り越して滑稽。
それでも、泥仕合になろうと中途半端なところで引きたくはない。
例え、出来レースでも思いがけない番狂わせがあるかもしれん。奇跡的な確率でも、可能性があるなら賭けたい。
その夜、オレは覚悟を決めた。
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