彼女の選択

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『いつか”椎名悠二の出身校”って看板かけれるぐらい有名なダンサーになります』  先生、元気にしてるかなー?いつになったら恩返しできるんやろ。  あの頃はオレ1人の夢じゃなかった。  そこそこ大きなコンテストで優勝したこともあったから、スクールの先生や一緒に通ってた生徒や親とか友達とか、みんなの期待も背負ってた。  けど、いつの間にかオレ1人の夢になって、最近は親でさえダンスを続けたいなら、せめて自分のスクールを持つことでも考えたら?って言うようになった。  もうええ歳やねんから、早よ結婚して生きてる間に孫の顔見せてよって。  自分のことも中途半端なオレが、誰かを養うとか育てるとかそんな大それたことできるはずがない。  だいたい、好きな女の子と付き合うこともできてへんのに。  くるみんのことを思うと、足が止まってしまった。
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