8251人が本棚に入れています
本棚に追加
そこそこ高級なクラブのナンバーワンだったのだが、クラブでの接客や人間関係に疲れてしまったらしい。
店を出した頃に何度か飲みに行ったことがあったが、最近はプライベートで飲みに行くことがほとんどなかったので自然と疎遠になっていた。
「お久しぶりね。相変わらずイイ男で。今日はもうお仕事終わりですか?」
「ああ、うん」
「よかったら、寄って行きません?今日はお客さんも少ないし、静かだから」
どうせ飲みたいと思っていたところだし、静かな店が見つかって丁度良かったのかもしれない。
店内は満席でもガラガラでもなく、半分くらい席が埋まっている状態だった。
カウンターの隅に腰を下ろすと、彼女がにっこりと微笑んで言った。
「まずはビールでいいですか?」
「ああ、うん。ありがとう」
彼女はホステスをしていた頃から、俺が愛想よくしているのは仕事上だけで、本当はホステスのいるような店が苦手だということにも気づいていた。
最初のコメントを投稿しよう!