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接待でどんな客を連れて行っても上手く対処してくれたし、俺としてはすごく楽だったので彼女が辞めると聞いた時は残念に思った。
でも、今こうして生き生きしている姿を見ると、辞めて正解だったなとも思う。
「どうしたんですか?怖い顔して。仕事で嫌なことでもあったんですか?」
ビールを差し出す時、彼女がさらっと訊いた。
「いや、そういう訳じゃないけど」
「だったら、恋人とケンカでもしたのね」
根掘り葉掘り訊くでもなく、彼女はそれだけ言うと離れて行った。
まあ、中らずと雖も遠からず、だが。
厳密に言えば、くるみはもう恋人じゃないし、喧嘩をした訳ではない。喧嘩を売られた、と言った方が正しいのか?あの露出狂に。
誰がどう見たって俺が悪いと思う。
自分からフッた元カノと寝た挙句、勝手に家まで訪ねて行ったのだから。
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