アイツの本気と俺の本心

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 ビールの後、ウィスキーをロックで二、三杯飲んだところでさすがに酔いが回ってきた。  だが、アイツのTシャツを着たくるみの姿が頭の中から消えてくれない。  あんなエロい恰好させられて……何を考えてるんだあのド変態は。  さらにムカつくのは、ちょっと可愛いと思ってしまった自分のいやらしさだ。  あー!クソーッ! 「同じものを」 「明日もお仕事でしょ?あんまり飲み過ぎない方がいいんじゃないですか?」  グラスを差し出すと、やんわりと止められた。 「じゃあ、それで最後にするよ」  気がつくと、半分くらいいた客も帰っていて、店には俺しかいなかった。 「ごめん。もう閉店だった?だったら帰るよ」 「ううん。まだ閉店じゃないから気にしないで。今日はもう店じまいするけど」  おかわりを出すと、彼女は店の外にある看板の照明を落とした。
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