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「明日が仕事じゃなけりゃ朝まで飲んでいたいとこだけど、これ飲んだら帰るよ」
「久しぶりに会ったっていうのに、相変わらずつれないのね」
彼女は手を退けると、煙草に火を点けた。
白い煙がゆらゆらと漂う。
「氷川さん、結婚はしてないでしょ?恋人はいるの?」
「いや、今は……」
「フラれたの?」
「え……?」
思わず、なんで知ってるんだって言いそうになる。
「それでご機嫌ナナメなんじゃないの?」
見透かしたように彼女が言う。
「だったら何?女々しいって言いたいの?」
「いいえ。慰めてあげるって言ってるの」
イスから立ち上がると、彼女はにじり寄ってきた。
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