アイツの本気と俺の本心

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     *  数日後、何の悪戯か先輩と一緒にくるみの会社へ行くことになった。  ここの海外事業部に以前うちで働いていた人がいて、今度の取引に彼の専門的な知識が必要だから話を聞きに行こうということになった。さすがに、こちらが教えてもらう立場なので、うちの会社に来いとは言えなかった。 「そういや、ここの受付にお前の彼女がいるんじゃなかったっけ?えっと……アケミちゃんだっけ?」 「ああ。そんなのもう、とっくにフラれましたよ。あけみじゃないですけど」  エレベーターを待つ間、先輩が今一番触れたくない話題を口にした。  幸いくるみは席を外していて受付におらず、杉田さんが対応してくれたので先輩にはバレずに済んだとホッとしていたのに。
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