アイツの本気と俺の本心

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 妙なところに感心しつつ、あっさりとした用件のみの電話に俺は内心ホッとしていた。  まさかアイツから話しがしたいと言ってくるとは、思ってもみなかった。嬉しい誤算と言うべきか。  椎名に出会うまでは、好きだの愛してるだの会う度に言っていたら嘘っぽくなるし、値打ちがなくなると思っていた。だから、ここぞという時にしか言わないようにしていた。  だが、アイツが面と向かってくるみに好き好き言うのを聞いていて、本当に心から思っていることであれば何度言っても嘘には聞こえないし、言われた方だって嬉しいし安心できるんだと気がついた。  もし、奇跡が起きて、くるみとやり直すことができたら、自分の気持ちを素直に伝えられるように努力しようと思う。  好きなオンナに溺れることは恥ずかしいことでも何でもない。  次はブレーキなどかけずに、思う存分くるみに溺れてやろう。  
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