アイツの本気と俺の本心

25/32
前へ
/1603ページ
次へ
 脳が興奮しているせいか、土曜の夜はよく眠れなかった。  そのせいか、日曜はいつもより遅く起きたのに、頭が重くてすっきりしない。  眠い目をこすって支度をし、少し早めに家を出た。  外は容赦なく太陽が照り付け、街路樹の木陰さえ暑く、木漏れ日の眩しさに思わず目を伏せる。  くるみから連絡があった店へと歩を進めながら、今日伝えることを何度も反芻する。何事も準備が肝心だ。  ようやくそれらしい店が見えたと思った時、不審な人影を見つけた。  隣の店との隙間から体を半分出し、何かをじっと見ているようだった。  そっと忍び寄って同じ目線になってみたが、何を見ているのかよく分からなかった。 「そこから、何か見えるの?」 「へっ!?」  後ろから声をかけると、酷く驚いた様子でくるみが振り返った。
/1603ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8251人が本棚に入れています
本棚に追加