アイツの本気と俺の本心

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「さて、そろそろ真面目な話しましょか。っと、その前に。ヒカワって、演歌歌手と同じ”氷川”?」 「そうだけど」  真面目なんて言うから身構えたのに、ヤツはいきなり俺の名前を訊いてきた。今さらかよ。 「氷の川なんて、ピッタリの苗字やな。で、下の名前はリョー何?」 「ただの稜。なんだよ、急に名前なんか訊いて」 「いや、よう考えたらフルネーム知らんなぁと思って。まあ、本来なら自己紹介するような間柄ちゃうけどさ、真剣な話すんのに名前も知らんのは失礼かなと思って」  コイツの口から失礼なんて言葉が飛び出すとは意外だった。  一体どういう風の吹き回しだ? 「一応年上やのに今まであんたあんたって呼んでたのもええことないやん?そこは単純に改めようかと」 「気味悪いなぁ。他一名で予約してたクセに」
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