オレがついた最後の嘘

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 さすがに、オレのこと嫌いではないんやろうけど、氷川ちゃんと比べられたら勝ち目はないんかなぁ。  もう、好き好き言うだけじゃ状況が変わらんことは分かってる。  オレ自身が変わって、くるみんから好きになってもらえる男にならんとあかん。  好きな人に好きになってもらうのって、そう簡単じゃないから。  くるみんは、本当に好きな人なら職業なんか関係ないって言うてくれたけど、もし将来が不安定なことが気になるなら、自分がダンサーになることは諦めてもいいと思ってる。  おかんが言うてたみたいに自分のスクールを持つことを考えてもいいし、サラリーマンになってもいい。  ダンスで生きていこうって決めてから初めて思った。  この女のためなら夢を諦めてもいいって。惜しくないって。  カノジョでもないのに、そんな風に思うなんておかしいかな?  でも、この気持ちに嘘偽りはない。
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