オレがついた最後の嘘

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『うちの会社、黒澤グループの会社だから』 『マジで?ほんなら会場にくるみんおるってこと?』 『そうだよー!本番楽しみにしてるね』  ウソやろ?こんな偶然ってある?ってか、偶然って言えんレベルちゃう?  願ってもなかったチャンスが向こうから面白いように転がってくる。  会場でくるみんが見るんかと思うと、余計に気持ちが昂ってくる。  練習しまくって、最高の姿を見せたい。  オレがくるみんに一番見てほしかった姿やから――。  本番までの期間は、ダンスを始めた頃に戻ったように、踊るってことを心から楽しむことができた。  ウキウキ、ワクワクしながら、当日を迎えた。  今までに立ったことないような大きなステージ。  朝から実際のステージでリハやって、照明とか立ち位置の最終チェックをするといよいよやなって気合も入る。 「ユージはさ、プロのダンサーになる気はないの?」  リハを終えると、事務所の人がオレに訊いた。
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