オレがついた最後の嘘

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 人生最大のチャンスではあるけど、アメリカ行きの話を受けたら半年か一年は向こうで生活することになってしまう。  その間、日本に帰って来られへんってことはないんやろうけど、受ける以上は生半可な気持ちでは行きたくない。  くるみんとのことも、ちゃんと決着つけてから行きたいし。  考えることは山積みやけど、もうすぐ本番。  まずは、今日のショーを成功させることに集中しよう。  みんなで円陣組んで気合を入れたら真っ暗なステージの上へ。  オレが今までやってきたことをぜんぶ出すつもりで、夢中で踊った。  もちろん、ステージから客席を見る余裕はないけど、曲が終わる度、歓声や拍手が大きくなってる気がする。  会場が大きくても小さくても、アーティストが無名でも有名でも、やることは変わらんし、手を抜いたりすることはない。どんな時も一生懸命やってきたことだけは胸張って言えるけど、それでもやっぱり大きなステージで踊れるってことはありがたいし、幸せなことで。
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