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何か言いたそうにしながらも、なかなか切り出さんとこを見て、オレはすべてを察した。
「あのね、ユージ……」
「ここで始まって、ここで終わるなんて、オレもなかなかロマンチストっちゅうか、悪趣味っちゅうか」
やっとの思いで言いかけたくるみんの言葉を遮った。
いざとなると、くるみんの口から聞くのが怖くなった。
「ユージ……」
最初から勝てる確率は1%ぐらいしかなかったかもしれんけど、オレは1%でも奇跡は起こせると信じてた。
でも、彼女はオレの言葉を否定しなかった。
それは、ここでこの恋が終わることを意味してた。
「勝負しようなんて言うたけど、結果なんか初めから分かってた。っていうか、出会った時から分かってたよ。オレに勝ち目はないって。それでも、どうしてもオレはくるみんが好きやったから。後悔はしてない。氷川ちゃんには悪いけど、何の遠慮もなく思いっ切りくるみんのこと好きになったったし」
ぜんぶ言い切る前に、くるみんは涙を零した。
見てたらオレまで泣きそうになる。
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