オレがついた最後の嘘

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「楽しかったなぁ。ディズニーシー行ったり、一緒に飯食ったり、発表会見に来てもらったり。誕生日も祝ってもらえたしな。くるみんの手料理、ぜんぶ美味かったなぁ。最後にオレのダンスも観てもらえたし。短い間やったかもしれんけど、くるみんとの思い出いっぱいできたから、オレは幸せやったで。ありがとう」  楽しい思い出ばかりが次から次へと溢れてくる。  選ばれへんかったことは悲しいけど、オレはくるみんと一緒にいられて確かに幸せやった。 「わたしも……すごく楽しかったよ。ユージといられて。辛い時、いっぱい励ましてくれて、笑わせてくれてありがとう。ユージがいてくれたから、立ち直れたんだよ、わたし」  目をうるうるさせながら言われると、オレも辛い。 「そっか。くるみんの役に立てたんなら、オレはそれでいい。っていうのは、ちょっとカッコつけ過ぎかな」  涙を拭いながら、くるみんは笑って首を振った。
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