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「まあ、ある意味ではそうかな」
「そっかぁ。考えようによっちゃ、いっぱいおる元カレの中の1人より、その方がよっぽどええかも」
「うん……って、元カレいっぱいはいないから!」
一瞬頷きかけてから意味が分かって膨れた後、オレを叩く振りしてくるみんは笑った。
悲しいかな、オレはやっぱりくるみんの笑ってる顔が好きや。
どうしようもないぐらい。
ずっと見てたかったけど、これ以上一緒におったら離れるのがイヤになるから。
「さてと……気が変わらんうちに」
勢いよくベンチから立ち上がると、オレはくるみんに向かって手を差し出した。
「ほなね」
くるみんも立ち上がると、オレの手をギュッと握ってくれた。
その手は華奢で柔らかくて、いつもより温かかった。
「うん。ほなね」
「下手クソ。でも、可愛いから許す」
断腸の想いで手を離すと、その手を振った。
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