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「バイバイ、くるみん」
「バイバイ、ユージ」
ホンマはバイバイなんてしたくない。
せやけど、これはオレ自身が決めたことやから。
敗者は潔く去る。
「あ、くるみん」
オレに背を向け、歩き出そうとしたくるみんを呼び止めた。
「なあに?」
振り返ったくるみんを見たら泣きそうになった。
でも、オレが泣いたらくるみんだって行きにくくなるから。
アホな男のままで見送りたい。
「オレはくるみんのこと見送るけど、くるみんは振り返らんと行ってな」
「うん。分かった。振り返らずに行くね」
目に涙を浮かべながら、くるみんは無理やり笑って背を向けた。
ゆっくりとくるみんが歩き出す。
一歩、また一歩とオレから離れ、くるみんは自分の帰るべき場所へと向かって歩いていく。
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