オレがついた最後の嘘

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 オレはポケットからサングラスを出すと、涙目を隠すためにかけた。 『ユージはおしゃれだから、プレゼント選ぶのすごく悩んだよ』  そう言って、くるみんは誕生日にピアスとサングラスをくれた。 『オレはくるみんがくれるもんなら何だって嬉しいのに』  あの日から、ピアスとサングラスがオレの宝物になったけど、ホンマはオレが一番欲しいものは何か知ってたやろ?  オレはくるみん以外に欲しいものなんかなかったで。  勝負に負けてしもたから、オレが一番欲しいものはもう永遠に手に入れることはできひんけど、オレにはくるみんとの思い出がある。  幸せなことばっかりじゃなかったけど、どれもこれも大事な思い出に変わりはない。  もうくるみんに会うことはないかもしれんけど、だからって急に好きな気持ちが消えてくれるワケじゃない。  自然に薄れていくまで、オレはこの想いと一緒に生きていく。  なあ、くるみん。あともう少しの間だけ好きでおってもええやろ?  
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