俺と彼女の第二章

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 今日は真面目な話だと言うので、完全に気を抜いていた。  それが間違いだった。  この男は”椎名ユウジ”なのだ。 「オレと勝負してくれません?」  何を言い出すのかと思えば、またも俺の想像の斜め上を行くような発言だった。  どちらがくるみを射止められるか勝負しようと言うのだ。  腹を割って話したいなんて言うから、くるみのことは諦めてくれとでも言い出すのかと思っていたが、堂々と参戦しろという話で。  驚いたけど、俺にとってはありがたい話だった。 「オレらの想いをじっくり聞いて、言動を見て、その上で判断してほしい。ここまできたら、もうどっちが彼氏に選ばれても悔いはないっていうぐらいのことはやりきりたいってオレは思ってんねんけど、どうっすか?」  子どものように悪戯な笑みを浮かべ、椎名は俺にもくるみにも確認した。
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