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「その覚悟がなきゃ、今日ここへは来ていないよ。一度終わったものを元に戻そうと思ったら、今までの何倍も努力しないと」
自分から別れておいて、今さらどの面さげてと思われることは覚悟している。
虫が良すぎるかもしれないが、例え受け入れてもらえないとしても、自分の想いだけはきちんと伝えておきたい。
「ほう。やっと氷川ちゃんが本気出すんかと思ったら、どんな手使ってくるんかちょっと楽しみな気もするけど、お互いにこれだけは守りません?どっちかが選ばれるまでエッチは禁止」
小声にするでもなく、ヤツは当たり前のように言い放った。
「おい、まだ昼だぞ」
「しゃあないやん。大事なことやから。あ、まさかそれで落とす気やった?」
「そんなワケないだろ」
何を考えてるんだ、まったく。
「ほな、問題ないですやん。決定ってことで。例え、どんな結果になろうと恨みっこなしでいきましょね」
「もちろん」
珍しくいがみ合うこともなく、俺たちの話し合いは済んでしまった。
張本人であるくるみは一言も発しないままで。
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