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パーティーの当日、会場となるホールに着くと既に人だかりができていて、それだけで気が滅入りそうだった。
招待客以外は入れないので、必ず受付を済ませなければいけない。
その為に、入口が混雑してしまうのだ。
帰ってやろうかと思いながら並んで入った先に、くるみが立っていた。
「あれ?くるみが受付してるの?」
「あ、うん。そうなの」
本社の人間に交ざって、くるみが受付をしていた。人手がないから駆り出されたのだろう。濃紺の上品なワンピースと、アップにした髪型がよく似合っていた。
こういう時、椎名なら周りに何十人いようと「可愛いやん」って言うんだろうが、さすがに俺はまだそこまでできそうにはない。
「そっか。じゃあ頑張って。また後で」
後ろも詰まっているいるので、素っ気なく声をかけると会場へ向かって歩き出した。
「稜!」
会社に俺のことを下の名前で呼ぶ人間などいないので、同じ名前の人がいるのかと思って振り返ったら、そこに見知った顔の女が立っていた。
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