俺と彼女の第二章

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「え?彩子(さいこ)?いつ戻ったの?」  同期の中では恐らく一番仕事ができ、現在はニューヨーク支社で勤務しているはずの深見彩子がそこにいた。 「昨日の夜戻ったのよ。久しぶりね。何年振りかしら?」  もう何年も会ってはいなかったので、懐かしさもありしばらく話し込んでしまった。  彼女は相変わらず自信に満ち溢れ、仕事が楽しくて仕方がないといった様子だった。頭がキレて、弁が立ち、誰が相手でも臆することなく自分の意見を言う。  目元が少し鋭くて、キツい印象を与えるクールな美人。  数年前、彼女が日本にいて一緒に仕事をしていた頃は惹かれた時もあったが、今の俺は自立したオトナの女に興味がなくなっているんだと思った。というか、彩子には何の感情もなくなっていた。  パーティーの第一部である式典が始まると、CEOや役員たちが挨拶した後、表彰式へと移っていった。
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