俺と彼女の第二章

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 見た目だけ良くて、歌手としての実力はイマイチなんだろうと期待もしていなかったが、彼女は意外にも声量があり歌が上手だった。  ダンスのことは詳しくないが、それでも昨日今日始めた感じじゃないのは俺にも分かった。  後ろのダンサーもなかなか……あれ?一人だけ前に出てきたこの男、誰かに似ているような?ハットのせいで顔がよく見えないが、椎名に似ているような気がした。  そう言えば、アイツもダンサーだったよな?でも、講師をしているのか。だったら別人か?  それにしても、体格も似ているような気が。  もしかしたらと思うと目が離せなくなって、俺はカンナよりも横にいるダンサーを見るのに必死になった。  曲が変わると、ダンサーたちはハットを脱いだ。その瞬間、俺は思わず「あ!」と声が出てしまった。  間違いない。ステージで踊っているのは椎名だ。  あまりの驚きに言葉を失った。と同時に、ステージ上のアイツに釘付けになってしまった。
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