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様子が気になったので、俺はくるみの後を追った。
立食ではあるが一流のシェフが料理を作ってくれるので、くるみはいつも歓談の時間を楽しみにしていた。
だが、くるみは料理の前に立ったまま何を取るでもなくボーッとしているようだった。
「食べないの?」
「えっ?」
声をかけるとくるみは振り返り、俺を見て目を丸くした。
「これ、くるみの好きなやつじゃない?」
何もない皿の上に、俺は勝手にくるみの好物であるカプレーゼを乗せた。
「あ、うん。ありがとう……」
気まずそうに礼を言うと、くるみはチラリと椎名と彩子の方を確認した。
どうやら二人のことが気になるらしい。
やはり椎名のことが好きなのだろうか。
「ダンスの話で盛り上がってるみたい。俺はダンスのこととか全然分からないから」
「そうなんだ……。ユージもちゃんと分かる人の感想聞けた方が嬉しいもんね」
自分は分からないのが悔しいとでも言っているように聞こえ、くるみの言葉が少し気になった。
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