嘘とジェラシー

俺と彼女の出逢い

　だが、仕事を後回しにしてオンナに現を抜かしていたら社内のライバルはもちろん、競合他社に取引先を奪われることにもなりかねない。

　ある程度のポジションにつくまでは、がむしゃらに働くしかないと思っている。

　忙しい男とは付き合えないと言うのなら、それも止むを得ないと諦めるしかない。

　ん？待てよ。

　しばらく恋人もいないのに、俺はどうして急にこんな言い訳じみたことを考えているのだろう……。

　そう思った瞬間に、”香山くるみ”のことが頭に浮かんだ。

　まだ付き合ってもいないのに、まるで彼女に言い訳しているみたいだった。

　意外と今度の日曜日を楽しみにしているのかもしれない。

　滑稽な自分が可笑しくて笑えた。