第二章 激動

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 何気に放たれた黒い羽根だったが、オレに向かってくる無数の羽根に隠して、後ろにいるリリル達にもちゃっかり攻撃をしかけていたのだ。 「ほぅ。これは本当にやるようだ。普通は見えぬ隠し羽根まで撃ち落とすとはな。まぁだがせっかく集めたこの呪いの力を消滅させるのは惜しいのでな。もらっていくぞ」  そういうとその場に澱みのように溜まっていた呪いの力を何らかの呪具に取り込んでいく。 (なんだあの呪具は!?あれは不味い!)  オレは【見極めし者】の力でその危険度を理解すると、何度も放たれる羽根の攻撃をかいくぐって肉薄し、聖なる力の乗った魔力撃を次々と叩き込む。 「させるか!素直に消滅してくれ!」  ズガガガガァツ!  武術(KALI)をベースにしてアレンジしたオリジナルの連撃を次々と叩き込むのだが、いきなり空間が裂けたかと思うと無数の鎖が飛び出してきて全てのオレの攻撃を防いでしまう。 「なんだ!?」  オレの第三の目でも『空間が裂けた』としかわからず、一瞬隙を作ってしまう。  すると、 「フフフ。ゼクス様に相手してもらおうなんて1000年早いわよ」  という声と共に、視界を埋め尽くすほどの闇の鎖が放たれる。  その新手の猛攻に防戦一方となるオレは、  ギギギギン!  なんとか第三の目の力も借りて全ての鎖による攻撃をしのぎ切るのだが、ゼクスが呪具を使った澱みの回収を終えてしまう。 「く!?パズがいないと厳しいか!?」 【見極めし者】でわかってしまうのだが、オレはともかく加護を受けたリリルやメイ、キントキが束になってかかってもゼクスは止められないだろう。 (いや。ここで下手に本気になられても不味いかもしれない…)  そう思う程にゼクスの力は強大だと理解してしまっていた。
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