第二章 激動

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【第66話:巨大な影】  オレ達から50mほど離れた所に空間が裂けたかと思うと、そこに巨大な影が現れた。  その大きさは高さで8mを超え、その体長は20mに迫る大きさだった。 「な!?なによあれ!?ユウト!気を付けて!」 「ユウト殿!下がるでござる!」  オレが少しその影の大きさに圧倒されているように見えたのだろう。  メアリとメイが叫び、注意を促してくる。  心配してくれている二人に大きな声で返事をすると、飛びのき皆にこの巨影の正体を伝える。 「わかっている!こいつは地竜だ!油断せずに出来るだけ距離をとって!」  そう。オレ達の目の前に現れたのは地竜。  セリミナ様に頂いた知識(かくかくしかじか)によれば竜種の中では比較的弱いとされているが、それはあくまでも圧倒的な強さを誇る他の竜種と比べての事だった。  その強さはたった一匹で小さな街なら滅ぼせるほどで、とても1パーティー数人で倒せるような強さではなかった。  いや。それでもオレ達のパーティーならば難なく倒すことは出来ただろう。  この地竜が普通の地竜ならば…。  この竜は変異種であった。  体に纏う禍々しい闇は体に溶け込み、体と同化して黒く変色している。  第三の目を使うまでもなくわかるフェーズ5の特徴であった。  オレは大きく飛びのき十分な距離をとると、 「こいつは変異種、しかも最終段階のフェーズ5だ!」  と皆に改めて警告を発するのだった。
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