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しかしリリルは、それならば現れたばかりの今がチャンスと自身のもっとも得意とする魔法でいきなり決めにかかる。
≪わが身は力。その源は火。全てを焼き尽くす紅蓮の刃よ。我に仇なす敵を切り裂け!≫
『贖罪の刃!』
リリルの髪色よりも更に赤い巨大な炎が刃となって大きな影と衝突する。
ゴォォォォォッ!!
加護の力によって大きく増大したその魔法により、辺り一面を焼き尽くし炭化させていく。
十分な距離を取っていてもその熱量に思わず顔をそむけるほどで、さすがの地竜も一たまりもない威力だった。
「す、凄いでござる!?」
「なによそれ!?ユウトだけでなくリリルもやっぱりとんでもないじゃない!」
メアリとメイがもう一度叫び、これで終わったのかとあっけにとられる。
そしてリリルは少し疲れた様子で、
「…どう…かな?加護の力も使って全力で撃ってみたんですが…?」
とオレの方に不安そうに視線を送ってくる。
オレもそんなリリルの視線に答えて安心させてあげたかった。
しかし……オレはすぐに祝詞をあげて全力で聖なる力を行使する。
≪我は暁の女神の使徒『残照の優斗』この名において与えられし力を今行使する≫
≪澄清の光波≫
竜がいた場所をすっぽり収めるほどの大きさの光の波があらわれ、黒ずんだ地竜を丸のみにしていく。
そして、オレは更に距離をとると
「みんな!撤退戦だ!パズをこっちに向かわせているから合流してからこいつを叩く!」
と指示をだすのだった。
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