第二章 激動

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 ~ 「…ユウト殿?あれで倒せてないでござるか…?」  メイが信じられない様子で尋ねてくる。  キントキも 「がうがぅ~?がうぅ?」  またまた~冗談でしょ?みたいに聞いてくる。 ※ユウトの勝手な想像です…  他の二人も同じような心境だったようだが、オレの真剣な表情に気付くと思わず生唾を飲み込み距離を取るのだった。  その時、地竜の目がこちらを『ギロリ』と見たかと思うと大きく口を開く。 「やばい!?ブレスが来るぞ!」 「きゃ!?ちょ、ちょっと待ってよ!?あんなの喰らったらひとたまりもないわよ!?」  オレは叫んでみんなと地竜の間に滑り込む。  大きく開かれたその口からは闇の光と呼べるような黒い光がチリチリと見え、引き攣った顔のメアリはもうダメかと頭を抱えてしゃがみ込む。 「大丈夫!みんなオレの後ろに隠れて!」  オレはそう叫ぶと、すぐさま祝詞をあげる。 ≪我は『残照(ざんしょう)優斗(ユウト)』の名において力を行使する≫  そして両手を前に突き出し聖なる力を行使する。 ≪安寧(あんねい)の境界≫  突き出した手の平の前に大きな光の文様が現れ回転すると、そのまま光の障壁と化す。  その光の障壁がオレの込める力によって10mほどの大きさに広がった時、瘴気のブレスが放たれた。  ズゴゴゴゴゴゴーーー!!  轟音と共に瘴気のブレスが地竜の変異種から放たれ、辺り一面が真っ暗になったかのようになる。 「「「「きゃー!!(がぅー!!)」」」」  なんか一匹混じっている気がするが、女性陣から悲鳴があがる。  オレは第三の目でみんなの無事を確認すると、ブレスがもたらした周りの惨状に絶句する。 「…おいおい…。森なくなってるやん…」  思わず少し混ざったエセ関西弁は、誰にも突っ込みをいれてもらえず寂しく消えていくのだった。
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