第二章 激動

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【第67話:撤退戦】  ブレスのあまりの威力とその光景に絶句するオレ達だったが、敵は待ってくれる気はないようだった。 「キシャー!!」  地竜が奇声を発すると同時に大地が震え、 「みんなもっと下がれ!土系統の魔法まで使ってくるぞ!!」  とオレの叫びに我に返ったみんなが一斉に動き出す。  その直後、少し規模の小さな土石流がオレ達がさっきまでいた所を通り過ぎていく。  ゴゴゴゴゴォーーー!! 「無理!無理!無理!無理!!無理ですって!竜でしかもフェーズ5の変異種とか!ぜったい無理~!」  そう言いながらメアリがフラフラ駆け出すのを、後ろからキントキが追いついて咥えて背中に放り投げる。 「キャー!!いやー!」  地竜に何かされたのかと勘違いして絶叫するメアリ…。  キントキに乗ってるメイに空中でキャッチされてキントキの上に座らされるが既に放心状態だった。 (…メアリ…下手に頭が切れて常識人だから、どんどんキャラ壊されていってるな…)  ちょっとメアリが哀れに思うが、そんな事を考えている余裕はオレにもなかった。 ≪我は『残照(ざんしょう)優斗(ユウト)』の名において力を行使する≫ ≪余光(よこう)武威(ぶい)≫  聖なる力を身に纏いなおし、名もなきスティックをもう一度引き抜くと光の斬撃を撃って撃って撃ちまくる。 「うぉぉー!!」  後ろ向きに下がりながら無数の光の斬撃を放つのだが、それでも地竜の足を完全に止めることはできなかった。 (く!?これだけの光の斬撃をくらっても歩くスピードが落ちた程度か!)  権能により結果(あまり効かない事)はわかっていたのだが、それでも自分の聖なる力を使った攻撃がまったく通用しない事に驚きを隠せなかった。
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