第二章 激動

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 その時、オレの焦りを感じ取ったのかリリルが、 「ユウトさん!私も協力します!」  と詠唱を開始する。 ≪わが身は力。その(みなもと)は風。忍び寄る見えざるその手よ。我に近づく者を絡みとれ!≫ 『封風(ふうほう)の見えざる手!』  セリミナ様の加護の力によって強化された強大な風の拘束魔法が発動する。  ゴォォォーー!  暴風となって地竜に襲い掛かり、その体を絡めとっていく。  しかし…、 「完全には無理だ!今のうちにリリルも下がるんだ!」  とオレは叫ぶと、リリルに駆け寄り手を掴んで走り出すのだった。  ~  直接的な攻撃と違って風の拘束はある程度効果を発揮していた。 「しかし不味いな…全力で放った攻撃が足止めにもならないなんて…」  オレはセリミナ様にもらった力を使いこなせていない自分に少し腹立たしい気持ちになる。 「大丈夫ですよ。ユウトさんだけで抱え込まないでください。私もメイちゃんもキントキ君もいるんですから」  そう言ってリリルが手をギュッと握り返してくる。 「あ…」  今頃になって手を握っている事に気付いたオレだったが、今更手を離すタイミングがわからなくてぎこちなく手を繋いだまま走り続けるのだった。 (ありがと。リリル)
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