第二章 激動

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 オレはリリルの手を離して立ち止まると光の斬撃を次々と魔方陣めがけて放っていく。  パリンッ!パリンッ!  さすがに本体と違ってオレの光の斬撃が当たると魔方陣は次々と音を立てて壊れていく。  しかし、それでも地竜本体に防がれてしまい全てを破壊する事はできなかった。  そして黒い魔方陣から次々と大きな影が現れる。 「ユ、ユウトさん!あれはまさか!?」  その影の形で気付いたのだろう。  リリルが信じられないといった表情で聞いてくるが、その嫌な想像は当たっていた。 「あぁ…。あれは霧の魔物…ワイバーンだ!」  それは霧の魔物の中ではもっとも危険とされているワイバーンという魔物だった。  見た目は翼の生えた小型の竜で、その大きさは体長3mに横は翼を広げると5mもの大きさがあった。  幸いなことにブレスは使えないのだが口からファイヤーボールを放つことができ、遠距離からの攻撃も可能としていた。  更に、攻撃特化の傾向にある霧の魔物の中では珍しく、硬い鱗による高い防御を誇っていた。 「本当に厄介だなぁ…もう色々悩んでいる暇は無さそうだ…」  オレはそう呟くとぶっつけ本番となる聖なる力の行使に踏み切るのだった。
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