第二章 激動

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【第68話:神具】  次々と生み出される黒い影は最終的には11体にのぼった。  霧の魔物の中で最強の一角と言われているワイバーン。  そしてそれを従える地竜が咆哮をあげる。 「キシャー!!」  すると、その咆哮に応えるようにワイバーン達も一斉に口を開く。 「うあぁぁ!?ユウト殿!なんかまずそうでござる!逃げるでござるよ!」  と言ってメイとメアリを乗せたキントキが駆け出す。 「そのまま逃げて!リリルもオレが少しの間食い止めるから今のうちに!」  と言って光の斬撃を次々と放つ。  見極めし者の力で寸分たがわずワイバーンに向かっていくが、ワイバーンもファイヤーボールを放ってこれを相殺する。  ドガガガガッ!!  空中で爆発する無数のファイヤーボールが轟音を響かせる。  リリルはここまで伝わってくる爆風に驚きの声をあげてしまう。 「きゃっ!あ!?ユウトさん!地竜がまた!」  そして地竜が口をあけているのに気づいて咄嗟に光の矢を連射する。 (リリルには無理させているな…オレがもっと強くならないと…) 「ありがとうリリル!あとは任せて今はキントキの所まで下がって!」  そう伝えると、リリルは わかりました と少し悔しそうな表情を浮かべながらも指示に従って下がってくれる。 (今度はオレの番だ!)  と気合いを入れて集中すると、両手を突き出して祝詞をあげる。  まずは新しい力を使う為に防備を固める。 ≪我は『残照(ざんしょう)優斗(ユウト)』の名において力を行使する≫ ≪安寧(あんねい)の境界≫  大きな光の文様が現れ回転して光の障壁と化すと、先ほどの再現のように瘴気のブレスが放たれるのだった。  ズゴゴゴゴゴゴーーー!!  瘴気のブレスがまた辺り一面を無に帰していくが、オレの光の障壁はまったく揺らぐことはなかった。
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