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「陛下、何をお決めになられたので?」
「うむ、余はラティーファを連れて行く」
言い切ったイブラヒムにターミルもナーセルも目を見開き、声が聞こえたラティーファは後ろを振り向いた。
「陛下、またご冗談を。先ほど逢ったばかりの娘で御座いますが」
「いや、冗談ではない」
二人のやり取りを見つめたナーセルはラティーファに言った。
「お前はどうだ」
「こっちこそ冗談じゃないわ」
何枚も薄焼きのパンを重ねた皿をラティーファは真ん中に置く。その隅には貰ったばかりの薔薇のジャムが添えられていた。
はっきりと答えたラティーファの様子にナーセルはこれではダメだとばかりに両手を広げて見せている。
「陛下、婚姻を結べば解消はできませぬ。物事は冷静に考えて戴かねば一時の気の昂りのまま…」
「うるさいターミル」
イブラヒムはターミルの小言をピシャリとはね除けた。
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